日本人の住まいの行方

住宅について考えます

今年の中古住宅

 

皆様あけましておめでとうございます。

 

少し間が空いてしましましたが、年末年始はインドのコルカタという都市まで旅行に行っていました。

 

平成26年度の税制改正大綱が12月に発表されました。

今回は中古住宅の流通促進のための内容も含まれており、今まで新築偏重の住宅政策を転換し、中古住宅の優遇策についても記載されています。

 

国土交通省の中古住宅活用の色々な動きを見ていると、昨年1年でも

 

・中古住宅市場活性化ラウンドテーブル

・個人住宅の賃貸流通の促進に関する検討会 全3回

・中古住宅の流通促進・活用に関する研究会 全3回

・「既存住宅インスペクション・ガイドライン」の策定

・事業者団体を通じた適正な住宅リフォーム事業の推進に関する検討会

 

等、中古住宅の活用について色々な話し合いがされています。

 

現在、建築業界は消費税の駆け込み、震災の買い控えの反動、1年後の相続税増税対策、団塊ジュニアの最後の取り込み等で活況ですが、住宅総戸数、人口の年齢別分布、年齢別持ち家率等を見れば、明らかに住宅が余ることは目に見えています。

もしかしたら、スクラップアンドビルドが顕著な日本の住宅市場が、木材や資源の無駄使いで、環境問題に将来発展する恐れがあるかも知れません。

 

自分自身は、以前所有していた新築で購入した分譲マンションをマイナスを補てんして売却し(お金に困った訳ではありません。)現在は昭和47年築の親類の家を自分でメンテナンスする前提で安く借りています。

 

当然、より良い住宅で、心地よく暮らすことは、幸せなことだと思いますが、価値観が多様化し、正社員終身雇用も崩れた中で、団塊ジュニア以降の年代が今までの世代のように住宅に皆がお金をつぎ込むことは無いでしょうし、単身者が増え、所得が下がり不安定になれば、国が主導しなくても、余った中古住宅に安く住もうという層は多くなってくるでしょう。

 

雇用状況自体が、正社員と非正規社員で所得の二極化が進んでいるので、住宅市場も「都心や周辺の好立地の分譲、高級賃貸」と「安い賃貸住宅」に二極化してゆくでしょう。

その場合の問題点は、

 

①建築会社と金融機関の営業に説得されて、郊外の不便な場所に多くの戸数を

 多額の借り入れをして建築したアパートオーナーの返済不能
 (地主さんの場合、同じ場所に多くの戸数を持っていると厳しい。)

②相続した郊外の古い住宅に、借りてや買い手がつかずに起こる空き家問題

③賃貸・売買相場の急激な下落及びそれに伴う、借り入れ残高が多い人の債務超過での売却不可能者の増大

 

解決策は、①早めの資産売却での返済(主に地主さんが多いでしょうから、自宅以外

      はすべて手放してでも早めに売却)

     ②とにかく安くしてでも、早く貸すか売るしかありません。

     ③普通に返済できていれば問題はありません。
      売却には手持ち金の投入が必要です。

      

 

とりあえずは、今年3月までの賃貸住宅の入居状況、消費税明けの4月以降の売買取引状況を見てみましょう。

傾向が見えるかもしれませんが、さすがに今年は大丈夫だと思います。                       

 

中古住宅空き家について

 

昨日に続き、国の中古住宅や空き家対策について考えます。

 

昨日の中古住宅の流通については、問題点の自分のなりの解決策を書きましたが、

根本的な自分の意見を書いていなかったので、書かせていただきます。

一般的に予想されていることと大きくは変わりません。

 

①多少資金に余裕のある人には、当然新築信仰はかなり残る

②都心周辺部のみ、立地に限りがあるので中古住宅の流通促進策は効果がでる。

 ※上記①②エリアは、都心10キロ圏程度と予想

  (横浜、津田沼、柏、大宮、立川まで)

③郊外エリアの価格については、かなり厳しいと思います。

 家余りの中で初めて体験する需要の大幅減ですから、今までは景気の浮き沈みの要

 素が強かった不動産価格が、需給バランスの要素が強くなり、さらに日本人は売却 

 する個人も、仲介する不動産会社も、売るとなったらすぐに売却したいと言う指向

 が強いので(特に相続物件は、固定資産税支払いの問題もあります。)大暴落にな

 るかも知れません。

⑤現在家を所有していない大半の人は、家余りで安くなった賃貸住宅に住み様子を

 伺うことになるでしょう。

⑥シェアハウス、リフォーム費用借主負担で格安賃貸、ネットによる外国人の一時

 利用、地方家屋の旅行・別荘需要等、家賃低下とインターネットの発達により、

 様々な需要が喚起される。

 (個人の家の1室を旅行者に安く貸すシステムも、192カ国に55万件以上の登録物件

  があり、2013年には世界で600万泊以上利用されてるようです。)

⑦IT企業等場所を選ばない企業は、東京圏郊外でなく地方自治体の納税者誘致合戦

 により、驚くほど好条件で暮らせる地方都市に移動する。

 (早く手を打った方が勝ちですよ)

 家賃や物価が安くなり、企業進出やクラウドソーシング等で暮らすことが出来るよ

 うになれば、大都市圏の人も地方都市に移動するでしょう。

東京圏郊外エリアにある立地が不便な物件は、売却価格も賃貸価格も厳しくなると

 思います。売買物件は安くしても売却できるまでの期間が長くなり、賃貸物件も所

 有者が特に他の資産があるような人でなければ、建物維持や退去時の原状回復工事

 も資金不足で出来なくなり、物件の質が下がりさらなる相場下落になって行くでし

 ょう。

 駅近の都心直通路線がある駅はある程度需要は残り、湘南地区等魅力のある場所に

 は、独自の文化が生まれるかも知れません。

 

大体このように予想しています。

需給バランスとインターネットの発達がカギですね。

 

 

国の中古住宅対策について

 

今回、平成26年の税制改正大綱に、中古住宅に関する項目が加わった道筋と、問題点について考えてみたいと思います。

 

発端しては、国でも40才程度と言われている住宅の一次取得の年齢を団塊ジュニアが超えつつあること、団塊の世代より少し前の世代が取得した初期の郊外住宅地の空き家問題が表面化したことに対しての危機感、住宅ストックが多すぎること(賃貸・持ち家)の3点で、新築一辺倒の住宅政策では、今後空き家が増えて大変なことになると予想してのことだと思います。

 

平成21年度の国土交通白書で、「少子高齢化により転換点を迎えている国土交通行政」という内容が書かれており、リーマンショックと少子高齢化の進行でさすがに変わらないと大変だということで舵を切ったのがスタートでしょうか。

 

2013年12月現在、動いている対策としては、以下の3点ではないかと思われます。

①中古住宅の売買・リフォーム促進  

 ・中古住宅・リフォームトータルプラン

 ・中古住宅の流通促進・活用に関する研究会

②個人住宅の賃貸促進

 ・個人住宅の賃貸流通の促進に関する検討会

 

③空き家管理

 ・空き家管理基盤強化推進事業の公募

 

本日は、①の中古住宅の売買・リフォーム促進について考えたいと思います。

中古住宅・リフォームトータルプランは、2020年(平成32年)までに、中古住宅流通・リフォーム市場の規模を倍増(20兆円)にしようという平成24年3月に発表された計画です。

 

これを受けて、2013年の3、5、6月に、中古住宅の流通促進・活用に関する研究会が開かれています。

この研究会では、建物の資産価値が維持・向上すれば、売却やリバースモーゲージ

より、高齢者やそれに備える人が、容易に高齢者住宅や便利な場所に移転できるし、

団塊ジュニアが、一次取得者層から退出した後も住宅需要が拡大するので、それに至るまでの問題点を研究しようという集まりです。

※リバースモーゲージ

 自宅を所有したまま、金融機関から自宅を担保にお金を借りて、死亡時に売却して

 一括返済するローンで、現在限られた金融機関でしか実施していません。

 

 

中古住宅の流通での問題点として挙げられているのが、

①評価の問題

 リフォームをしても建物評価が上がらず、20年程度で0円になる物件評価

②情報開示の問題

 正確な物件情報を買主へ提供するためにどうすれば良いか

③金融機関による評価の問題

 上記①の問題を踏まえて、金融機関の評価をあげること

④中古住宅の質に関する問題

 買主側が、中古住宅に対して不安を感じているのをどう解消すれば良いか

⑤中古住宅の流通上の障害の除去についての問題

 買主が、建物診断、鑑定評価、リフォームなどの関連サービスを利用しやすいよう

 に求めているのにかかわらず、連携がうまくいっていないこと。

 

上記問題についての自分の意見は

①については、市場の評価が決めることなので、中々難しい問題ですが、

 千葉県の木更津バス便の大規模分譲地で見た事例ですと、需要が少なくなると新築

 する予算の人がほとんど購入しないので、昭和40年代の中古でも実態として土地で

 購入する人がいないので、安い家を探している顧客に購入されたり、地元の買い取

 り会社がリフォームして、売却したりしていました。

 ある程度市場の評価に任せるしかない問題ですが、リフォーム内容のインターネッ

 トでの積極開示や、所有者自身のメンテナンスやリフォームして価値を高める意識

 がもう少し必要だと思います。(見て購入したいと思わせる、古い中古住宅は実際

 少ないです。)

②については、強制するしかないですね。

 お客さんに、調べるのや思い出すのが面倒だと言われたら、不動産会社は売却の依

 頼を取るために、深く突っ込めませんから。

 持つ側の建築確認図面の保管や、リフォーム履歴の保管の意識改革も必要です。

③金融機関は、バブル崩壊、リーマンショック、少子化で不動産評価について懐疑的

 なのではないでしょうか?

 あとは、今までは新築に融資をする方が、分譲業者というプロとの継続取引

 (貸すのが個人でも窓口は不動産会社の提携ローン等)で楽であったので、新築優

 遇の融資体制をとっていますが、新築の分譲数が今後は減るので、中古にも力を入

 れるのではないかと思います。バブルのころは、都市銀行(当時)は、住宅ローン

 なんて、面倒で熱心でありませんでしたから。

④これは、⑤と一緒に考えます。

⑤これは、完全に不動産仲介会社の問題です。

 ・効率的に手数料を上げるために面倒なことを極力避け、それが良い営業マン

  という価値観

 ・購入する方は不安定なので、とにかく早く契約したいということで、1週間程度で

  契約日を設定しないと、物件を押さえてもらえないケースも多いこと。

 ・売却を受けた不動産会社は、とにかく媒介契約(売却の依頼)を切られなければ

  売主からは売れれば手数料がもらえるので、売主を大事にしたいということで、

  余計なことは受けたくない。

 

 これは、業界の構造的な問題なので、何らかの形で強制しないと絶対にかわりらな

 いでしょう。

 自分が考える解決策は、

 (1)売却時に売り主の情報開示義務

 (2)買主の要望があれば、売買契約前に地盤調査、建物診断やリフォーム見積も

    りを出すのを売却側は拒めないことにして、それを契約前に買主に告知する

    義務

    ※大分前に、契約前に地盤調査ができないとお客さんに言ったら、

     「不動産を買うってギャンブルみたいですね。」と言われたことがあり

     ます。

    ※何もしないで先に購入したいという人がいたら、物件を取られるのも

     しょうがないでしょう。(そこで不動産会社に煽られない意志も必要)

 (3)購入する側の意見が弱いのは、知識不足とバラバラな意見の集約がなされな

    いからなので、購入する側が安心して相談できる、

    「インターネット上の相談窓口」の作成をして国土交通省が管理し、信頼で

    きる委託専門家による回答、よくある質問や購入にあたっての情報を掲載

    ※ある程度意見が集約できれば、長期間継続しなくても良いと思いますが、

     認知度アップが課題ではあります。

 

以上、不動産業界特有の取引の文化がある程度定着しており、緩いやりかたでは変わりません。

購入予定者からは、いくら物件を紹介しても、案内しても、良い物件が他社から出て他社で買ってしまえば「ただ働き」という問題もあります。

今日は、長くなったのでこのくらいで、明日は続きを書きます。

 

 

    

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

不動産売買仲介会社と建物診断

 

現在、日経新聞にコラムを連載中の長嶋修さんは、不動産の健全な取引について、非常に熱心な方だと感じていましたが、日経に連載したことによって、今後影響力が増してくると良いと思っています。

 

長嶋氏を知ったのは、氏が設立した個人向け不動産コンサルティング会社「さくら事務所」について、当時(2007年頃)働いていた建売を分譲する会社の同僚が、さくら事務所の建物チェックが厳しい、と言ったことを聞いてからです。

 

その当時興味を持ち、さくら事務所を設立した長嶋さんの著作を読んだりしました。

第三者建物チェックが厳しいチェックをするのは当たり前でないか、と思われるかも知れませんが、大抵は軽微な事項なので、あんまり厳密に依頼者に話して不安がらせてもしょうがないと言う心理が働くことと、不動産会社との関係をあまり悪くしたくない、と言うこともあり多少手心を加える場合もあるようです。

 

先週、長嶋氏はツイッターで、さくら事務所では不動産仲介会社さんから、「報告書のこの部分を削ってくれ」と言われても丁重にお断りしています。

とつぶやいていました。

 

そのほか、長嶋氏がよく言うのは、個人間売買の仲介においての、両手取引を狙う物件情報囲い込みについてです。

 

これを知るには、不動産仲介のシステムについて、知らなくてはなりません。

不動産を売却するときは、一般的に不動産仲介会社に依頼をします。

これは、建築上の制限や重要事項について、プロがチェックしないと買う方が不安なので、当然のことです。

但し、そのあとが問題です。

 

宅地建物取引業法という法律で、売る側と買う側と双方から、約3%の手数料をもらうことが出来ると規定されているので、買う側のお客様も自分で探せば、二倍の手数料(両方から手数料と言うことで「両手」と言います。)が手に入るのです。

 

4,000万円の物件の場合120万円の報酬が、買う側も探せば240万円の報酬

※少し簡略化しています。

 

物件の囲い込みを避けるために、専任媒介契約(1社だけに売却を依頼)した場合、指定流通機構に7日以内に登録しなければならない、と定められています。

指定流通機構に登録するということは、全不動産会社に公開するということです。

 

ただし、他の不動産会社にも公開して問い合わせが来た時に、「商談中です」と言うことにして、自社ストックのお客様や、公開して自社に反響があったお客様が検討する時間稼ぎをしている。と言うことです。

 

当然、その間に他の不動産会社のお客様は、物件が無いと思って他の物件を探し、物件公開したときには、他の物件を購入していたりして、売却依頼者の利益を損ねているということです。

 

このようなことが無いように、売り主の利益を売り側の仲介会社が守り、買う側の利益を買う側の仲介会社が守り、双方1社での取引をなくす。

と言うことが、利益相反する売主、買主二人の間に入り、大きな金額のものを仲介するとことを考えると正論で、きわめて当たり前なことですが、業界の反発にあって大分前から言われていても実現しません。

自分も、早くそのような状況になってゆくことを望んでいます。

 

話はそれますが、先日発表された平成26年度の税制改正大綱では、中古住宅についての各種減税が盛り込まれており、ようやく新築一辺倒な住宅政策も転換点を迎えました。

前回書いた空き家問題のように、郊外バス便の大規模住宅地が、相続で徐々に市場に放出され、現在住宅購入適齢期の40才を頂点として人口は減少する見込みで、もう供給過剰なのは、皆解っていることなのです。

 

まずは、少なくても宅地開発の許可の基準を早急に見直して、現在緑があるところを減らさないで欲しいものです。

 

 

 

 

 

賃貸住宅の将来

 

住宅の着工数は、アベノミクスの追い風、消費税の駆け込み、1年後からの相続税基礎控除の減額対策での賃貸住宅建設、等により近年にない盛り上がりを見せており、現在の建築・不動産会社の悩みは、建築会社及び建築下請会社の人手減少による、建築費の高騰になっています。

 

内訳は、直近の平成25年10月で、全体が103.7万戸で、持ち家38.4万戸、賃貸住宅38.9万戸、分譲住宅25.2万戸です。

賃貸住宅は今でも空室が多く、不動産会社や大家さんが埋めるのに苦労をしている状況でも、持ち家の戸数より多いというのは驚きです。

 

現在は、狭い単身者向けが多く、ファミリー向けや広めの単身者向けが少ないとも言われていますが、本当に足りなくてしょうがないということなら、ファミリータイプの空き室が無くなり、だれでも気付きますよね。

 

相続税対策と消費税を餌に、良質な貸出先がない金融機関や受注が減ってきた建築会社が一生懸命営業しているのでしょうが、それだけの理由でしょうか。

 

一番の問題は、自分に判断力があると思いコンサルティングやアドバイスをする第三者に有償で相談しないという過信と、バブル崩壊後にこれだけ色々あっても、宗教かと思うような金融機関信仰のせいでは無いでしょうか?

 

自分にお金を貸したい金融機関や、建物の受注が欲しい建築会社の出す判断材料だけで、何千万円から億という金額の必ずしも必要でな訳で無いリスク資産を購入しているのです。

 

先日、ある相続のセミナー等を行っている方に話を聞いたところ、セミナー等で質問をすると、未だに借金をすれば相続税が下がると単純に思っている人が、2割程度いるそうです。

実際は、土地や現金(借金)を「賃貸住宅用」の土地・建物にすると相続税評価は大分下がります。現金でも、他の土地を売って建てても良いのです。

 

金利や諸経費や将来リスクを考慮すれば、現金や土地を持っている主に賃貸住宅を

建設する地主さんは、土地を売って現金で建てた方が良い場合も多いと思います。

狭いエリアに土地・建物を持つ地主さんが、借金までしてそのエリアに投資するのは、リスクの分散が出来ていないと思いませんか?

 

 

甘い収支、甘い読みの家賃の下落率、甘い読みの将来の修繕費、将来の少子高齢化を無視した入居率、そのようなもので、賃貸住宅建設の話に乗ってしまうのでしょう。

 

賃貸住宅に入居する側としては、新しい物件の数が増えて選択でき、住宅過剰で家賃が下がれば良いことですが、賃貸住宅を建てることによって資産を守ろうとして、資産を失ってしまう方も出てくるでしょう。

その時に、お金を払ってでも、外部の人のアドバイスを受けていれば良かったと思うでしょうか。

 

 

 

郊外の住宅地の将来

 

昨年、自分の住んでいる市内の大きな分譲地について、市、大学、民間企業、町内会で「長寿社会のまちづくりについての共同研究プロジェクト」というのを進めるにあたって、色々調べていたようですが、まとめられていた数字を見てびっくりしました。

 

1965年に開発され、約2,000世帯あるようなのですが、高齢者約2,200人で、高齢者比率が42.7%だそうです。

空き家110軒、空き地60区画もあります。

 

1970年前後には、首都圏周辺で同じようなバス便の多少不便な大規模住宅地が多く作られ、自分が知っている近い範囲でも10か所程度はあるでしょう。

 

年齢的に1965年に40才で家を購入していたら、今は88才ということになります。

日本人の平均寿命は女性でも86才ですので、今後どのようになってゆくか心配です。

この分譲地は、1965年ということは、開発されたのが早い方ですから、今後それに続く分譲地もどんどん出来てきて、問題になってゆくのでしょう。

 

日本の新築指向は好みの問題なので、他人が口出す問題ではありませんが、空き家問題が首都圏で騒がれていても、現在新設住宅着工数は、下記のようにリーマンショック後では最高の水準です。(建て替えの件数も含まれているので、単純に増えた数ではありませんが。)

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長寿化もこれに拍車をかけ、86才で両親ともに亡くなった場合で、仮に26才の時にできた子供が相続すれば、60才で相続するのです。

それでは、待ちきれないで家を買ってしまいますよね。

そうすると、この住宅地は、売られるか貸されるかということになるのでしょうが、

これから、住宅購入者層の人口が急激に減少する中(団塊ジュニアの頂点の40才から急激に減ってゆきます。)そんなに需要があるのでしょうか。

 

そうしたら、お金がある程度ある人は、自由に場所を選ぶので、お金のない人に来てもらうしかないですよね。

 

と言うことで、生活保護の現物支給で、自治体が借り上げた空き家に入居して、週に2・3日程度、行政の仕事でもやってもらうというのはどうでしょうか?

「無料で住めます。」「週〇日〇時間、市のお手伝いで月〇万円支給」

強制移住、強制労働のようですが、国や自治体にお金が無くなってきたら、それどころではないですよね。

高齢者の方の在宅介護等も行ってもらいます。

 

しかし、日本の人口を増やすことは、移民でもしない限り不可能なので、少し増やすくらいの効果しかないですし、すべての場所の問題は解決出来ません。

さらに、交通や行政サービス等の効率化のための「コンパクトシティ」等の流れにも反していて、もともと人が集まりにくい地域に、前述の方法により人を集めても、さらなる問題を引き起こす可能性もあります。

 

但し、コンパクトシティ化で高齢者問題を解決しようとしても、高齢者のいる世帯の持ち家率は,2010年の内閣府の調査で86%に達していること、高齢での引っ越しは、体力的にも精神的にも負担と思われることから、容易に進むとは思えません。

 

しかし、自分の意見としては、基本的にはコンパクトシティ化と近い考えです。

将来偏った高齢化が進む地域はある程度選別して、高齢者により合った地域を「行政サービス重点地域」として、60代くらいの若い時期から、ある程度指定した地域に住み替えられるように移転者に優遇を図り、その地域に雇用のひも付きか、低家賃の住宅の貸与で、一定数の若者や、働ける生活保護者を集めて、年齢層の均一化を図る方法です。

60代程度なら、まだ元気ですし、交通の便が良く、医療施設が整ったところに引っ越したいという、自発的な意思で人が集まるかも知れませし、その年代なら、新しい街を作ることにも貢献でき、現在住んでいる高齢者の方への介護等で貢献することも出来ると思います。

 

残される地域の方には不公平な話しですし、エリアを決めるのに揉めそうですが、全ての場所を良い環境に保つことは出来ないですし、世帯数が減る以上どちらにしても不便なところから取り残されてしまいます。

人口は今の0才の人までの人数が決まっていて、少子化対策に画期的なことが起こっても労働可能人口が増えるのは大分先です。

 

実際は、これから紆余曲折するのでしょうが、早めに考えておかないといけない問題ですね。

住宅購入という幻想

人はなぜ家を買うのだろうか?


現金で買える人や少額や短期のローンで買える人はともかく、目一杯ローンを組む人は、将来の収入減少、転勤、介護、リストラ、倒産等があった場合のリスクを抱えることとなる。
ほとんどの人は、団体信用生命保険に加入するのでしょうが、死亡時と高度障害時のみの保障です。

新築住宅を購入した場合は、不動産相場が変わらない場合でも、住んだ瞬間に中古となり、物件によって差はあるが、2割程度価格が下がる可能性が高いことから、購入して10年程度は、売るに売れないし、貸すにしても、常に貸せている保障はなく、空室期間はローンを返済しなくてはいけないし、入居者の退去時はリフォーム費用もかかる。
賃貸で借りている状況なら、今後住宅が余り、汚いけどものすごく安い賃貸住宅も増えてくる可能性が高いので、経済的に苦しくなったときは、そのような住宅に入れば良いでしょう。


したがって、生命保険に入る程度のリスクを心配する気持ちがあるなら、家を買わないことがリスク軽減になるのではないでしょうか。


さらに、平均30代~40才前後で、35年返済でローンを組んでいる人が多い状況です。
退職金か繰り上げ返済で、ということでしょうが、今の時代会社が定年まであると保証出来ますか?


「いつかはマイホーム」という幻想が、世の中に作り出されているのではないでしょうか。

自分自身は、一度購入した新築マンションを、購入してから10年程度で、ローン超過分を貯金から支出して売却しました。
今は、親類所有の築40年のボロ戸建をリフォームして住んでいます。


これからは、マイホーム持つことや消費が幸せという時代は終わり、冷静な判断で住まいや消費について考える時代になってゆくでしょう。


「持ち家が得か?賃貸が得か?」と良く言われていますが、ほとんどの人にとってあまり意味のない疑問だと思います。
都心以外の一般的な住宅地では、分譲マンションの方が設備・仕様もかなり優れており、賃貸住宅の質は余り良質なものが無いことから、資金に余裕がある人や、どうしてもそのような家に住みたい人は、購入するのがよろしいでしょうし、そこまでの必要性が無い人や予算がギリギリの人は、様々なリスクを考えると、買わない方が良いのではないでしょうか?


金融機関は、借り入れした人が、60才で職が無くなり、10年以上の住宅ローンが残っていても、借り入れの半分以上は返済が済んでおり、いくら不動産相場が下がっていても、おそらく競売にかければ回収できます。
でも、一生の住まいとして購入した人が、60才でせっかく手に入れたマイホームを手放すのは、かなりの金銭的・精神的ダメージでしょう。


最後の住宅・不動産業界の稼ぎ時であった団塊ジュニアの頂点が40才を迎えて、消費税の駆け込み需要も終わりつつあり、今後は、家余りの時代が来ます。


高齢者の方の住まいについても、今後いろいろと試行錯誤を繰り返すのでしょう。
これからの高齢者の方の持ち家率がかなり高く、慣れた環境で余計な費用をかけずに自宅で過ごしたいという高齢者の方が多いですが、単身高齢者の増加、税収減による社会保障費の限界、500万人に近づいている認知症の人をどう支えていくか。等、これから考えて行かなくてはいけません。

今後、日本の住まいはどのような方向に進んでゆくのでしょうか?