中古住宅流通活性化対策
3月は年度の終わりと言うこともあり、国土交通省の中古住宅関連のまとめが多く出てきています。
また、自分自身も「不動産流通事業活性化・事業者間提携協議会シンポジウム」と
「耐震診断資格者講習・耐震改修技術者講習」にも参加してきました。
耐震診断については、一般診断法と精密診断法の計算方法に従って診断するということですが、耐震補強については、壁や金物、筋違を適切に加えればプラスになることは間違い無いですが、やはり技術論ではなく耐震補強の実績が蓄積されないと確信をもって補強は出来ないと感じました。
しかし、実験を何度もいろいろな建物ですることも出来ないので難しいですね
兵庫耐震工学研究センターに「Eディフェンス」という施設があり、実験の動画が公開されています。
https://www.youtube.com/watch?v=Dn7fw2T2lmI
「中古戸建ての建物評価の改善に向けた指針」
「中古住宅市場活性化ラウンドテーブル」
「個人住宅の賃貸流通の促進」
等もまとめられており、国土交通省のWEBサイトから資料を見ることが出来ますが、
根本的な問題として、今の日本の政治全般に言えることですが、既得権者の不利益になることは出来ず「新築住宅の供給調整」や「開発許可の制限」等まで踏み込めないので問題は解決しないと思います。
結局は、大きな土地を買うのは新築分譲業者だけなので、販売時に容易に売れる仕入れ値に合わせて土地を購入して、中古住宅の値崩れを横目で見ながら、少ない緑も薙ぎ倒し、新築住宅が供給され続け空き家はどんどん増え値崩れするでしょう。
少子化による不動産価格の下落による、中古住宅の値崩れが起きることは誰の目にも
明らかです。
今年41才になる団塊ジュニアと言われる世代の頂点からの比較で言うと、3才下で10%
6才下で20%人口は減少します。
さらに、これから下の世代は就職が厳しかった世代で、非正規労働者や低所得者が多いと思われます。
昨年のアベノミクスの盛り上がりと、消費税の駆け込み、リーマンショック・震災の
買い控えの反動というプラス要素を考えると、今後は一部都心以外は下がる方向性しか見出せません。
そして今後の問題点は、
・夫婦共働きの増加
・年金支給年齢の上昇による生涯労働の必要性
・郊外の中古住宅の値崩れ
・長寿化による要介護者の増加
・少子化による介護人口の減少
現在、認知症で一定以上の症状がある人の居住形態の半数は居宅です。
それを支えているのは、専業主婦や退職者であることが想像できます。
建築を推進しているサービス付き高齢者住宅は介護対応は必須ではありません。
これから導き出されるのは「どんな状態になっても自宅に居住し続け、現役世代も働かない訳にはいかないので、要介護者を介護保険で賄える部分だけデイサービスなどに出しあとは放置する」ということです。
現在の経済情勢を考えると、低金利での国債発行も早期に限界が来て、社会保障費や年金支給についても厳しい状況になることが予想されます。
労働人口減少に従って経済規模が縮小し、日本国力への信頼が損なわれた時には、どうなるのでしょう。エネルギー価格も上昇傾向にあり輸入額は増えて貿易赤字も拡大しています。
先日財務省のWEBサイトにアップされていた、大和総研の報告書によると、団塊世代がすべて後期高齢者になる2025年から長期金利が5%になる程度で、
「政府債務は2040年度末でGDP比420%。現実問題としてこの計算に実質的に意味は無く、利払いの雪だるまが発生すれば財政は破たんする」と述べています。
しかし、現在は未だに新築住宅にも固定資産税の優遇を行っている状況です。
国土交通省でも、少子化で来るのが必須と予想される郊外住宅の中古価格の大幅下落を防がないと、ストック過剰な住宅で唯一足りていない高齢者対応住宅への移転がスムーズに進まないと認識しているから、これだけの中古住宅関連の会議を行っているのでしょうが、どの分野でもそうですが、既得権者と現在の急激に変化する世の中についていてない高齢者に甘言を言い続けなくてはいけない政治には期待できません。
政治家も国家公務員の方々も誰も悪くは無いのでしょうが、住宅と介護の問題は、民間で解決しなければいけないのです。
今後のポイントは
介護住宅改修を個人で出来るような商品の開発
空き家の活用による低所得高齢者対策
ICTによる地域住民の相互扶助システム構築
行政機能を補助するNPO等への投資や寄付の促進
所得の二極化で中流から下流に流される層が、必要に迫られて犠牲を払いながら行って行くことになるでしょう。