賃貸へのシフト
これから首都圏の不動産が向かう方向性は、どうなって行くのでしょうか?
変化の要素としては、
①少子高齢化による転入・世帯分けの頭打ち
②ストック過剰な住宅
③優良賃貸物件の増加
④東京近郊への一極集中
⑤若い世代の雇用の不安定化
ここから考えられるのは、
①都心部
資産価値が維持でき、高所得者層が居住することから安定が期待できる
景気の動向により価格の上下は激しい
②第1エリア(横浜、大宮、立川、柏、津田沼まで)
一定数の需要は維持でき、分譲マンションの供給はこのエリアまでになる
賃貸マンションは優良な物件と安い物件の二極化が進む
価格はある程度都心に準ずる状況を維持できる
③第2エリア(②より先の現在の東京通勤圏と言われるエリア)
転入数の低下や人口減の影響を一番受けるエリア
駅から一定の距離以上の物件は賃貸・売買ともに供給過剰で価格は下落
新築マンションの供給は一部駅近や大規模に限る
建売の需要は一定数維持できるが、エリアの選別がされ分譲価格自体は低下する
大方の予想はこのような状況となるでしょうが、国が進めている中古住宅の流通促進と価格維持については、非常に見通しが悪いと思われます。
家を購入する人は、ある程度雇用が安定して所得がある人でしょうから、人口の総数が減り、減った中で正規雇用が減っている状況では、購入層の増加は望めません。
更に郊外不動産は資産価値が維持できるのかという疑問も出てきています。
大企業でも浮き沈みが激しい現在は、社会がどのようになってゆくか解りませんし、景気の良い会社は皆、海外を目指しています。
転勤や海外出張が多いなら、所得が多い人も都心の賃貸で、郊外の所得が安定しない人も賃貸、都心やそれに近いエリアは投資対象やお金持ちの道楽で価格は維持できるでしょうが、それ以外のエリアで売買は進むのでしょうか?
車もカーシェアリングが進み、インターネット上でもクラウド化が進む現在社会は「物を持つ」と言う「幻想」が崩れつつあります。
今後は「なんで家を買う人っているのだろう」という疑問が強くなってくると、個人的には予想します。
「資産価値あっての不動産購入」ということを考えれば、これから郊外に購入するのは怖いことだと思います。
高齢化の影響も複雑に絡んできます。
サービス付高齢者住宅を国は2020年までに60万戸作ると計画しているようですが、年金収入だけで生活するのは厳しくなると、持ち家率が高いこの世代の自宅の売却が進みます。
ここ数年で傾向は出てくると思いますが、今年41才が人数の頂点になる団塊ジュニアで購入意欲のある人が購入しつつある現在、購入適齢期(35~40才程度))の人数が減ることは決まっていることですし、その下の世代の持ち家志向や雇用の安定も低くなっていることも解っていることです。
供給過剰 → 資産価値の下落 → 購入意欲の減退 → 賃貸シフト
というシナリオではないでしょうか。