日本人の住まいの行方

住宅について考えます

国土交通白書

 

新年度が始まり三か月が過ぎて、中央官庁から白書が公開されています。

 

住宅関連で言えば、

①震災地域の復興

②地方の空き家、未利用地、インフラ問題、コンパクトシティ

③中古住宅の流通活性化

Jリート関連

が目につくところです。

 

この中で、今回は地方について考えてみたいと思います。

私自身首都圏に住んでいるので、当事者意識を持って考えることが出来ないのですが、あくまでも、住宅行政に関する感想として書かせていただきます。

 

国土交通白書は日本のインフラの歴史から始まります。

「自治体でインフラの管理体制が出来ていない」、「国際競争力の減少・社会保障費の増加によりお金が足りなくなる」、「民間でインフラを維持してきた例もある」など、逃げ腰な内容になっています。

 

今後、全ての分野で二極化が進んで行く中、

高所得者 対 低所得者

都心居住者 対 地方居住者

税負担 対 税依存

若年者 対 高齢者

などの対立は進んで行きます。

 

世界を見ても、混乱が収まらないタイも、タクシン派が約6割を占める農村にバラマキをして選挙で勝てる体制を作っりましたが、実際に納税をしている都心部の居住者と対立し、現在もクーデターにより軍部が実権を握ったままです。

アメリカでも、富裕層が自分達の税金が低所得者にばかり使われているのを不満を持ち、富裕層が市を作り独立しているということが、NHKクローズアップ現代で取り上げられました。

中国も現在の経済成長を地方まで行き渡されることが出来ずに、近隣国家と問題を起こすことによって国をまとめようとしています。

 

日本の場合も、税収に余裕があった時代は取れるところから取って、その他の地域にも行き渡らせ、地方も発展するという手法が取れましたが、もう公共事業補助金

地方との平等感を維持することは困難になっている状況です。

 

このような中で、全ての人が納得感が得られてうまくゆく方法は無いでしょう。

 

一番大事なことは、将来のことを考え当事者意識を持って困難を乗り越えようとする人にお金(税金)を託して、十分な情報開示と話し合いを経て、お金の有効な使い方をしてゆくことでしょう。

 

現在の問題点は、国が一律な政策を作りそれを地方が実行するという構図で、地方で色々頭をひねっている人はいるのでしょうが、責任やリスクを取って何としてもこの自治体を立て直して将来を創って行きたいという人が現れにくい状況でしょう。

 

今後の二極化と税金不足の時代の政治運営は非常に困難で、若く少し時代の流れが解っている能力のある人は、政治には何も出来ないので民間でやって行かなくてはいけないと思って行動しています。

 

しかし、国土交通省の管轄で言えばインフラの維持については、大量な資金と自治体の情報、利害関係者の調整が必要なので、公的機関で多くを負担しなければなりません。

 

最近の国土交通省が発表している文章を見ると、「もう今後はお金を出し続けられないので民間で支えて欲しい」というメッセージが小出しに書かれているように思います。

 

権力とお金を握りながら、自分たちは限られたお金を好きな方法で使うから、足りない行政サービスは勝手にどうにかしてくれ、と言うことでは混乱するのは必至です。

どうせ責任が取れないなら、「国はどうしても必要なことだけやるから、お金と権限もあげる」と思い切って言って欲しいものです。

 

そして、その地域を良くしたいという強い意欲があり、責任と当事者意識を持った首長が時間をかけて地元の利害調整をして、その地域独自の方向性を見出すことが必要でしょう。