若年層の住宅はどうなる
先週、年金の現況と見通しについて発表されましたが、経済成長や運用利回りの好転が前提条件になっている楽観的な見通しと、現実的な見通しの何パターンか予測されていますが、現実的なパターンですと非常に厳しい状況です。
非正規雇用率は労働者全体の三分の一を超えて過去最高の水準になり、正社員で就職しても、3年以内の離職率も3~4割程度いると言われ、非正規雇用はさらに増えると予想されています。
このような状況の中、長期間の収入の安定が必要な住宅の購入意欲は今後かなり落ちてくると予想されます。
その中で、若年層はどのような住宅を指向するのでしょうか。
①大手企業に勤める人は、今後グローバル化が必須なので海外出張や転勤も多いで
しょうから、都内の高級賃貸が主流になるでしょう。
②大手企業以外の都心に流入してくる層は、都心か都心近郊の築年数が古かったり
狭い家賃の安い物件やシェアハウスなどを利用する人が増えるでしょう。
海外から来る人も同様でしょう。
③首都圏近郊は、一定の範囲までは今までと同様の都心に勤務するサラリーマンの
新築需要が継続すると思われますが、エリアはかなり狭くなるでしょう。
④首都圏郊外の不動産が一番の問題です。
今までは、所得層がある程度高い層が郊外の持ち家を購入していましたが、所得の
二極化と少子化により、中産階級の象徴であった郊外の持ち家層が、低所得や非正
規雇用に入れ替わり、郊外に持ち家を持つ場合も価格が下落すると予想される中古
中心になると思われ、少子化で都心部でも余ってくると思われる低家賃の賃貸住宅
に住む人が増えると予想されます。
結論としては、
・都心の新築も思ったより伸びない
・都心の高級賃貸は伸びる
・都心の質が良くない格安物件、シェアハウスなどは伸びる
・首都圏近郊は、一定エリアまでは新築分譲可能だが需要は減る
・首都圏郊外は、新築需要は大幅に減り格安の中古購入か賃貸アパート中心
住宅ローンを組める層は少なくなる
・地方圏は、不動産を購入するという概念が無くなる。土地持ちの建て替え中心。
住宅ローンを組める職が少なくなる。
と予想されます。
今後厳しいのは、
①新築分譲の不動産会社やハウスメーカー
②多店舗展開している不動産仲介会社
③郊外の賃貸管理会社
今後伸びるのは、
①中古の買い取りリフォーム販売会社
②現在よりコストを安く運営される、ベンチャー不動産仲介及び管理会社
③外国人向け賃貸会社
若年層の雇用環境や将来不安により、古い高コスト体質の会社と新築分譲の会社の多くは、東京五輪前に厳しくなって来るでしょう。
また、マインド的にも、所有よりシェアという傾向が強まって来ていること、ITの発達により不動産会社も低コスト運営の会社が出現すると予想されるので、既存の不動産会社は厳しくなるでしょう。