所得二極化時代
現在の日本の年齢別人口分布は、高齢者が多くなっていることは多く報道されていますが、住宅購入適齢期の人口減少については、あまり語られていません。
団塊ジュニア世代の一番人口が多い2014年に41才になる世代との比較ですと、
38才‐89.0%
35才‐79.4%
32才‐73.2%
29才‐69.9%
となっています。
それに加えて、団塊ジュニア世代以降の世代については、バブル崩壊後の就職難の世代で非正規雇用が多く、未婚率も高く、持ち家志向も低いと言われています。
住宅購入の平均年齢は37~38才と言われており、5年前のリーマンショック、3年前の東日本大震災による買い控えによるストックが、消費税増税、アベノミクスに重なり住宅の需要は伸びましたが、これが最後の伸びになることは、「人数が減る」「既婚者が減る」「所得も減る」ということから明らかです。
日本人の一方向に進むと皆同じ方向に進む集団指向からすると、昭和40年代の不便な郊外開発物件の相続の増加も考えると、需要と供給の関係から不動産価格は、一部の都心周辺エリア以外は下落するでしょう。
そして、現在進行形で進んでいる所得の二極化、グローバル化は持ち家志向を減少させると思われます。
J-REITの普及等により、都心部に優良賃貸物件も増えているので、海外出張や転勤の多い、高所得者層も賃貸指向が進むと思われます。
転勤の無い内需産業では、消費が旺盛な若年層の減少や所得低下により、高所得者は減って行くでしょう。
現在 これから
上流家庭 持ち家多い 持ち家と都心の高級賃貸
中流家庭 持ち家多い 下流家庭に没落(一部は残留)
下流家庭 安めの賃貸 安めの賃貸(予算は下がる)
この状況で、住宅ストック過剰な状況にこれから突入しようとしているのです。
これは、想像でなく現在進行形で進んでいることなのです。
間違いなく、今後の不動産業の形態は変わってきます。
①郊外の新築供給はほぼ難しくなるでしょう
ストック過剰な中古価格が下落して新築では採算が合わなくなります。
好立地に開発されるものが、中小デベロッパーにより少数供給されるにとどまる
でしょう。
②都心とその周辺は賃貸・売買ともに現在の状況に近いものが維持でき、高級賃貸は
増えてゆくでしょう。
エリア的には、周辺部はブランドの劣化が起こり、今人気である西側地域が下がり
東京への距離が近い割に安い、東側地域の人気が上がるでしょう。
③郊外の中古流通と賃貸が面白くなってきます。
今まで、建売・新築マンションを購入していた層が、中古購入と賃貸に流れ込んで
きます。
賃貸は供給過剰により選別が広がり、良質で安いファミリータイプ物件の人気が高
くなり、入居率は現在を維持できるでしょう。
シングル向けについては、単身者が都心寄りに移動するか、地元に残るならパラサ
イトシングルになるので厳しくなります。
一番変化するのが、所得は低くても持ち家が欲しい層の動きです。
需要の減少により、新築業者も土地の仕入れ値を下げて格安物件を供給するでしょ
うが、格安中古住宅が動くようになってくるでしょう。
新築供給を主に行う分譲業者があまりにも多く、急に業態は変えられないことから、ストック住宅が超過剰時代になることは間違いありません。
そうすると、中古物件の価格下落も間違いありません。
一人がほぼ一軒しか持たない家が、空き家があるのに更に供給され、人数や所得が減るので、下がらないという理由を探す方が難しい状況です。
来年1月の相続税基礎控除の減額、最高税率の上昇に向けて、節税効果がある賃貸住宅もまだまだ建築されます。
来年のこの時期くらいに、ストック過剰が社会問題になってくるでしょう。
そこで来なくても、消費税10%の段階で色々出てくるでしょう。
今年は嵐の前の静けさで、少し骨休みをしておいた方が良いかも知れません。