個人住宅の賃貸流通の促進に関する検討会
国土交通省が「中古住宅の流通活性化」について対策を行っていることは以前取り上げましたが、地味に行われているのは「個人住宅の賃貸流通の促進に関する検討会」です。
少し面白いのが、中古住宅の流通活性化は「建設産業局不動産業課」で行ており、賃貸流通は「住宅局住宅総合警備課」で行っていることです。
賃貸流通は空き家対策という意味合いが強いのだと思いますが、首都圏についても郊外の大規模分譲地の建築時期から空き家は急増すると思われ、それを有効活用してゆかないと賃貸相場も売買相場も下落してゆくことになります。
高齢化は現在地方で進んでいますが、今後は都市部でも進行してゆくことになります。高齢化イコール相続される住宅が増えることで、子供世代の持ち家率が高いことから、親の家は利用されない可能性が十分あります。
売買の流通促進と賃貸の流通促進は同じ意味を持ってくると思われます。それは
「不動産の賃貸・売買相場の維持」による高齢者の専用住宅へのスムーズな移転です。
異常に高い日本の住宅流通における新築住宅率により、今後は郊外の空き家が急増し、賃貸にしても、売買にしても相場の維持が出来るのは、好立地が限られている都心部のみになることが予想されています。
また、労働人口の減少による国の経済規模の減少を避けるために、現在は女性の社会進出も後押しされています。
これは、現在認知症のような厳しい状況の人も約半数が自宅で介護されている状況を支えていると思われる専業主婦の減少を意味します。
介護離職も避けなければなりません。
おそらく、ここから導き出されたのが
若者・子育て世代 → 高齢者が住んでいた中古住宅
高齢者 → 売ったり貸したお金で高齢者施設
お金持ちのみ → 新築住宅
ということなのでしょう。
これ以上新築住宅が供給され続けて、
大きい土地を買うのは不動産業者くらいなので、新築業者が買い叩いて
売れる値段に合わせて、土地の仕入れをする。
→
豊富な広告費によるイメージ戦略により中古より魅力的に宣伝
→
古い中古住宅は賃貸・売買ともに大幅下落
→
高齢者は手元資金の将来不安により今の家を離れられない
→
放置による孤独死や介護離職による労働力の減少などの社会問題化
このようになるのを避けたいということなのでしょう。
それなら、新築住宅の固定資産税等の税制優遇などを未だにしている意味は理解不能です。
開発許可も全面的に一部地域を除いて出さないようにして、新築の供給を大幅に絞ることが必要です。
さて、個人住宅の賃貸流通の促進については、貸主の費用負担を抑えるという意味で、国土交通省がガイドラインを出した、借主がリフォーム費用を負担する、
借主負担DIYの2タイプ(修繕しないと住めないものと、現況使えるが借主がリフォームして良いタイプ)は時間がかかると思いますが、浸透していって欲しいと思います。
自分自身が親類の家ですが、お湯も出ない、お風呂も使えない、という昭和47年築の木造戸建てを自己負担でリフォームして住んでいるので興味があります。
しかし、問題点としては、
①立地的に今後余ってくると思われる戸建は不便なことろが多いと思われるので、
だいぶ安くしないとおそらく借り手がいないと思われること
②古い戸建は見た感じで魅力が無いこと
何年か前に社内の手伝いで賃貸の案内をしていたことがありますが、戸建希望の予
算があるお客さんでも、全体から漂う古さというか、生活臭があり、結局新しいテ
ラスハウスで決めた人と、マンションにした人がいました。
③予算があるお客さんは金利が安いので購入してしまうこと
現在、広めの賃貸住宅の入居者が購入に動いて余ってきていると聞きます。
お金がない人→賃貸 お金がある人→購入 ということになると
大幅に賃貸戸建が流出したときに、広めのアパート程度の家賃にしかならず、
借主DIYとなると更に安くなります。
結論としては、放置すると空き家問題、老朽化の促進、固定資産税の支払い等が
あることから、「決まる価格まで相場を落とす」しか無いですね。
現在、国が進めているサービス付き高齢者住宅も、首都圏郊外でも高齢者が年金で入れるような施設は、最低面積の25㎡を共有施設の充実で18㎡にした狭いタイプになってしまうとも聞きます。
戸建に住んでいた人が、そんな狭いところに住みたくないですよね。
この辺の問題を解消すべく、今後色々と動いてみようと思っています。