日本人の住まいの行方

住宅について考えます

ストック住宅活用の意義

国が中古住宅の流通促進を後押しするのは何故でしょうか?

 

高齢者社会を迎えるに当たり、国はサービス付き高齢者住宅を2020年までに60万戸にする予定です。

それは、現在日本の住宅はストック過剰ですが、高齢者向けの住宅は数が全然足りないからです。

そうすると、サービス付き高齢者住宅に入居し続けるため、または自宅を高齢者向きリフォームをする資金が必要になります。

 

一次取得者が新築を中心に購入する現在の状況のままであると、すでにストック過剰な住宅がさらに増えて、購入層自体が少子化の影響で激減するので中古住宅が暴落する可能性があり、自宅を売却して高齢者が専用住宅に入ったり、住宅を担保にバリアフリーのリフォームをする費用や生活費を捻出できなくなります。

 

以下が国土交通省が行った、中古住宅流通活性化ラウンドテーブルの資料で掲載されたものです。

<中古住宅流通シェアの国際比較>

日本 13.5% アメリカ 90.3% イギリス 85.8% フランス 64%

 

かなり驚きの状況で、日本人の新築好きは異常なレベルですね。

 

また、日本で発生する産業廃棄物の20%が建設廃棄物で、なんとその40%が新築現場から出てくるということです。

不法投棄については、40%が建設廃棄物だということです。

当然、中古で長く使われれば解体で出る廃棄物も減るので、中古住宅の流通促進は廃棄物問題・環境問題にも非常に関連しています。

当然、新築が減れば木材の輸入も減り、森林伐採も減って地球温暖化問題にも貢献するでしょう。

 

こう考えると、上記の各国の中古の流通量を他国の人が注目しだせば、クジラや

イルカ問題どころでは済まないかも知れません。

 

ただし、国が後押しすればそれで済むのでしょうか?

 問題点は中古住宅の質です。 一度買ったり建てたりすると、あまりメンテナンスやリフォームをせずに、売るときに魅力的な状況を保っておらず、また、建てたときやリフォームやメンテナンスをした時の記録を残していない人も多く、買う人が安心出来ないと言うことが有ります。

 

2番目の問題点は、購入する時のチェックです。 購入するときに第三者のプロを入れて診断をしてもらうことが一般化され、容易に出来るようになれば安心して中古住宅を購入することが出来ます。

 

3番目の問題点は、購入した時にリフォーム費用を含めた総額での融資の利用が難しいことです。

 

このような状況から、中古住宅の流通促進は待ったなしの課題ですが、いろいろと

課題も多い状況です。

 

個人的には、住宅所有者のメンテナンス・リフォーム意識の向上も十分浸透させて欲しいと思っています。

やはり、少し古くなると日本の中古住宅は、視覚的に触手が伸びない物件が多いと思います。(外国の中古住宅は見たことはありませんが。)