日本人の住まいの行方

住宅について考えます

不動産売買仲介会社と建物診断

 

現在、日経新聞にコラムを連載中の長嶋修さんは、不動産の健全な取引について、非常に熱心な方だと感じていましたが、日経に連載したことによって、今後影響力が増してくると良いと思っています。

 

長嶋氏を知ったのは、氏が設立した個人向け不動産コンサルティング会社「さくら事務所」について、当時(2007年頃)働いていた建売を分譲する会社の同僚が、さくら事務所の建物チェックが厳しい、と言ったことを聞いてからです。

 

その当時興味を持ち、さくら事務所を設立した長嶋さんの著作を読んだりしました。

第三者建物チェックが厳しいチェックをするのは当たり前でないか、と思われるかも知れませんが、大抵は軽微な事項なので、あんまり厳密に依頼者に話して不安がらせてもしょうがないと言う心理が働くことと、不動産会社との関係をあまり悪くしたくない、と言うこともあり多少手心を加える場合もあるようです。

 

先週、長嶋氏はツイッターで、さくら事務所では不動産仲介会社さんから、「報告書のこの部分を削ってくれ」と言われても丁重にお断りしています。

とつぶやいていました。

 

そのほか、長嶋氏がよく言うのは、個人間売買の仲介においての、両手取引を狙う物件情報囲い込みについてです。

 

これを知るには、不動産仲介のシステムについて、知らなくてはなりません。

不動産を売却するときは、一般的に不動産仲介会社に依頼をします。

これは、建築上の制限や重要事項について、プロがチェックしないと買う方が不安なので、当然のことです。

但し、そのあとが問題です。

 

宅地建物取引業法という法律で、売る側と買う側と双方から、約3%の手数料をもらうことが出来ると規定されているので、買う側のお客様も自分で探せば、二倍の手数料(両方から手数料と言うことで「両手」と言います。)が手に入るのです。

 

4,000万円の物件の場合120万円の報酬が、買う側も探せば240万円の報酬

※少し簡略化しています。

 

物件の囲い込みを避けるために、専任媒介契約(1社だけに売却を依頼)した場合、指定流通機構に7日以内に登録しなければならない、と定められています。

指定流通機構に登録するということは、全不動産会社に公開するということです。

 

ただし、他の不動産会社にも公開して問い合わせが来た時に、「商談中です」と言うことにして、自社ストックのお客様や、公開して自社に反響があったお客様が検討する時間稼ぎをしている。と言うことです。

 

当然、その間に他の不動産会社のお客様は、物件が無いと思って他の物件を探し、物件公開したときには、他の物件を購入していたりして、売却依頼者の利益を損ねているということです。

 

このようなことが無いように、売り主の利益を売り側の仲介会社が守り、買う側の利益を買う側の仲介会社が守り、双方1社での取引をなくす。

と言うことが、利益相反する売主、買主二人の間に入り、大きな金額のものを仲介するとことを考えると正論で、きわめて当たり前なことですが、業界の反発にあって大分前から言われていても実現しません。

自分も、早くそのような状況になってゆくことを望んでいます。

 

話はそれますが、先日発表された平成26年度の税制改正大綱では、中古住宅についての各種減税が盛り込まれており、ようやく新築一辺倒な住宅政策も転換点を迎えました。

前回書いた空き家問題のように、郊外バス便の大規模住宅地が、相続で徐々に市場に放出され、現在住宅購入適齢期の40才を頂点として人口は減少する見込みで、もう供給過剰なのは、皆解っていることなのです。

 

まずは、少なくても宅地開発の許可の基準を早急に見直して、現在緑があるところを減らさないで欲しいものです。