日本人の住まいの行方

住宅について考えます

賃貸住宅の将来

 

住宅の着工数は、アベノミクスの追い風、消費税の駆け込み、1年後からの相続税基礎控除の減額対策での賃貸住宅建設、等により近年にない盛り上がりを見せており、現在の建築・不動産会社の悩みは、建築会社及び建築下請会社の人手減少による、建築費の高騰になっています。

 

内訳は、直近の平成25年10月で、全体が103.7万戸で、持ち家38.4万戸、賃貸住宅38.9万戸、分譲住宅25.2万戸です。

賃貸住宅は今でも空室が多く、不動産会社や大家さんが埋めるのに苦労をしている状況でも、持ち家の戸数より多いというのは驚きです。

 

現在は、狭い単身者向けが多く、ファミリー向けや広めの単身者向けが少ないとも言われていますが、本当に足りなくてしょうがないということなら、ファミリータイプの空き室が無くなり、だれでも気付きますよね。

 

相続税対策と消費税を餌に、良質な貸出先がない金融機関や受注が減ってきた建築会社が一生懸命営業しているのでしょうが、それだけの理由でしょうか。

 

一番の問題は、自分に判断力があると思いコンサルティングやアドバイスをする第三者に有償で相談しないという過信と、バブル崩壊後にこれだけ色々あっても、宗教かと思うような金融機関信仰のせいでは無いでしょうか?

 

自分にお金を貸したい金融機関や、建物の受注が欲しい建築会社の出す判断材料だけで、何千万円から億という金額の必ずしも必要でな訳で無いリスク資産を購入しているのです。

 

先日、ある相続のセミナー等を行っている方に話を聞いたところ、セミナー等で質問をすると、未だに借金をすれば相続税が下がると単純に思っている人が、2割程度いるそうです。

実際は、土地や現金(借金)を「賃貸住宅用」の土地・建物にすると相続税評価は大分下がります。現金でも、他の土地を売って建てても良いのです。

 

金利や諸経費や将来リスクを考慮すれば、現金や土地を持っている主に賃貸住宅を

建設する地主さんは、土地を売って現金で建てた方が良い場合も多いと思います。

狭いエリアに土地・建物を持つ地主さんが、借金までしてそのエリアに投資するのは、リスクの分散が出来ていないと思いませんか?

 

 

甘い収支、甘い読みの家賃の下落率、甘い読みの将来の修繕費、将来の少子高齢化を無視した入居率、そのようなもので、賃貸住宅建設の話に乗ってしまうのでしょう。

 

賃貸住宅に入居する側としては、新しい物件の数が増えて選択でき、住宅過剰で家賃が下がれば良いことですが、賃貸住宅を建てることによって資産を守ろうとして、資産を失ってしまう方も出てくるでしょう。

その時に、お金を払ってでも、外部の人のアドバイスを受けていれば良かったと思うでしょうか。