日本人の住まいの行方

住宅について考えます

郊外の住宅地の将来

 

昨年、自分の住んでいる市内の大きな分譲地について、市、大学、民間企業、町内会で「長寿社会のまちづくりについての共同研究プロジェクト」というのを進めるにあたって、色々調べていたようですが、まとめられていた数字を見てびっくりしました。

 

1965年に開発され、約2,000世帯あるようなのですが、高齢者約2,200人で、高齢者比率が42.7%だそうです。

空き家110軒、空き地60区画もあります。

 

1970年前後には、首都圏周辺で同じようなバス便の多少不便な大規模住宅地が多く作られ、自分が知っている近い範囲でも10か所程度はあるでしょう。

 

年齢的に1965年に40才で家を購入していたら、今は88才ということになります。

日本人の平均寿命は女性でも86才ですので、今後どのようになってゆくか心配です。

この分譲地は、1965年ということは、開発されたのが早い方ですから、今後それに続く分譲地もどんどん出来てきて、問題になってゆくのでしょう。

 

日本の新築指向は好みの問題なので、他人が口出す問題ではありませんが、空き家問題が首都圏で騒がれていても、現在新設住宅着工数は、下記のようにリーマンショック後では最高の水準です。(建て替えの件数も含まれているので、単純に増えた数ではありませんが。)

f:id:moksokg:20131208143639p:plain

長寿化もこれに拍車をかけ、86才で両親ともに亡くなった場合で、仮に26才の時にできた子供が相続すれば、60才で相続するのです。

それでは、待ちきれないで家を買ってしまいますよね。

そうすると、この住宅地は、売られるか貸されるかということになるのでしょうが、

これから、住宅購入者層の人口が急激に減少する中(団塊ジュニアの頂点の40才から急激に減ってゆきます。)そんなに需要があるのでしょうか。

 

そうしたら、お金がある程度ある人は、自由に場所を選ぶので、お金のない人に来てもらうしかないですよね。

 

と言うことで、生活保護の現物支給で、自治体が借り上げた空き家に入居して、週に2・3日程度、行政の仕事でもやってもらうというのはどうでしょうか?

「無料で住めます。」「週〇日〇時間、市のお手伝いで月〇万円支給」

強制移住、強制労働のようですが、国や自治体にお金が無くなってきたら、それどころではないですよね。

高齢者の方の在宅介護等も行ってもらいます。

 

しかし、日本の人口を増やすことは、移民でもしない限り不可能なので、少し増やすくらいの効果しかないですし、すべての場所の問題は解決出来ません。

さらに、交通や行政サービス等の効率化のための「コンパクトシティ」等の流れにも反していて、もともと人が集まりにくい地域に、前述の方法により人を集めても、さらなる問題を引き起こす可能性もあります。

 

但し、コンパクトシティ化で高齢者問題を解決しようとしても、高齢者のいる世帯の持ち家率は,2010年の内閣府の調査で86%に達していること、高齢での引っ越しは、体力的にも精神的にも負担と思われることから、容易に進むとは思えません。

 

しかし、自分の意見としては、基本的にはコンパクトシティ化と近い考えです。

将来偏った高齢化が進む地域はある程度選別して、高齢者により合った地域を「行政サービス重点地域」として、60代くらいの若い時期から、ある程度指定した地域に住み替えられるように移転者に優遇を図り、その地域に雇用のひも付きか、低家賃の住宅の貸与で、一定数の若者や、働ける生活保護者を集めて、年齢層の均一化を図る方法です。

60代程度なら、まだ元気ですし、交通の便が良く、医療施設が整ったところに引っ越したいという、自発的な意思で人が集まるかも知れませし、その年代なら、新しい街を作ることにも貢献でき、現在住んでいる高齢者の方への介護等で貢献することも出来ると思います。

 

残される地域の方には不公平な話しですし、エリアを決めるのに揉めそうですが、全ての場所を良い環境に保つことは出来ないですし、世帯数が減る以上どちらにしても不便なところから取り残されてしまいます。

人口は今の0才の人までの人数が決まっていて、少子化対策に画期的なことが起こっても労働可能人口が増えるのは大分先です。

 

実際は、これから紆余曲折するのでしょうが、早めに考えておかないといけない問題ですね。