日本人の住まいの行方

住宅について考えます

住宅購入という幻想

人はなぜ家を買うのだろうか?


現金で買える人や少額や短期のローンで買える人はともかく、目一杯ローンを組む人は、将来の収入減少、転勤、介護、リストラ、倒産等があった場合のリスクを抱えることとなる。
ほとんどの人は、団体信用生命保険に加入するのでしょうが、死亡時と高度障害時のみの保障です。

新築住宅を購入した場合は、不動産相場が変わらない場合でも、住んだ瞬間に中古となり、物件によって差はあるが、2割程度価格が下がる可能性が高いことから、購入して10年程度は、売るに売れないし、貸すにしても、常に貸せている保障はなく、空室期間はローンを返済しなくてはいけないし、入居者の退去時はリフォーム費用もかかる。
賃貸で借りている状況なら、今後住宅が余り、汚いけどものすごく安い賃貸住宅も増えてくる可能性が高いので、経済的に苦しくなったときは、そのような住宅に入れば良いでしょう。


したがって、生命保険に入る程度のリスクを心配する気持ちがあるなら、家を買わないことがリスク軽減になるのではないでしょうか。


さらに、平均30代~40才前後で、35年返済でローンを組んでいる人が多い状況です。
退職金か繰り上げ返済で、ということでしょうが、今の時代会社が定年まであると保証出来ますか?


「いつかはマイホーム」という幻想が、世の中に作り出されているのではないでしょうか。

自分自身は、一度購入した新築マンションを、購入してから10年程度で、ローン超過分を貯金から支出して売却しました。
今は、親類所有の築40年のボロ戸建をリフォームして住んでいます。


これからは、マイホーム持つことや消費が幸せという時代は終わり、冷静な判断で住まいや消費について考える時代になってゆくでしょう。


「持ち家が得か?賃貸が得か?」と良く言われていますが、ほとんどの人にとってあまり意味のない疑問だと思います。
都心以外の一般的な住宅地では、分譲マンションの方が設備・仕様もかなり優れており、賃貸住宅の質は余り良質なものが無いことから、資金に余裕がある人や、どうしてもそのような家に住みたい人は、購入するのがよろしいでしょうし、そこまでの必要性が無い人や予算がギリギリの人は、様々なリスクを考えると、買わない方が良いのではないでしょうか?


金融機関は、借り入れした人が、60才で職が無くなり、10年以上の住宅ローンが残っていても、借り入れの半分以上は返済が済んでおり、いくら不動産相場が下がっていても、おそらく競売にかければ回収できます。
でも、一生の住まいとして購入した人が、60才でせっかく手に入れたマイホームを手放すのは、かなりの金銭的・精神的ダメージでしょう。


最後の住宅・不動産業界の稼ぎ時であった団塊ジュニアの頂点が40才を迎えて、消費税の駆け込み需要も終わりつつあり、今後は、家余りの時代が来ます。


高齢者の方の住まいについても、今後いろいろと試行錯誤を繰り返すのでしょう。
これからの高齢者の方の持ち家率がかなり高く、慣れた環境で余計な費用をかけずに自宅で過ごしたいという高齢者の方が多いですが、単身高齢者の増加、税収減による社会保障費の限界、500万人に近づいている認知症の人をどう支えていくか。等、これから考えて行かなくてはいけません。

今後、日本の住まいはどのような方向に進んでゆくのでしょうか?